恋愛&小説のブログ

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恋愛のブログ記事

恋愛(ムラゴンブログ全体)
  • 小さな握りこぶし61

    担任の先生にも (これなら、上級クラスに戻れる) そう言われた 高校2年後半くらいから 同姓の男子からいじめを 受けるようになっていたわたしは 死に物狂いで勉強し そこから這い出したかった しかし進級した私は 変わらず5組だった 大人が信用ならないものだと 身をもって思い知った いじめは相変わらず... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし60

    高校生活は想像以上に楽しかった 同級生とは一歳差があったけれど ほとんど気にされなかった 上級クラスで あぐらをかいていたわたしは 進級するとともに 3クラス落ちることになる 自分の甘さが露呈し 恥ずかしくなった 授業の質も下がり 普通にクラストップは取れた ただ、やっぱり 上級クラスに戻りたい気... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし59

    合格通知が来た瞬間 ああ、高校生になれるんだ また学校に通えるんだ もはや、どの高校に行くかは 些細な問題にもならなかった ただただ 高校生になれる確証が得られただけで 満足であった 当時の気持ちは 今思い返してみても 表現できる言葉がない 感動とは違う 1人きり落とされた落とし穴から カッコ良く... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし58

    私立は学費が高いと 聞いていたわたしは 受験はしても通う気はなかった ただ、当然のことながら 半年まともに勉強しない状態で 本命に受かるとも 思っていなかったが 精一杯の悪あがきはしようと思った 私立の試験は それほどにプレッシャーもなく 気楽な気持ちで受けた 受験した高校は 学力別にクラス分けさ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし57

    それでも勉強する気は起きず 残り半年は 家族が出かけると 家でゲームをしたり テレビを見たり 今で言うところの 中学生"ニート"になっていた 外出するのは周りの目が怖かった 買い物やレストランで食事をすると (買い物とかレストラン 行く暇があるなら勉強しろ) と誰かに言われている様な錯覚に陥った ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし56

    当時も今も "中学浪人"というのは まあいない というので 最寄りの大手予備校でも 受け入れを拒否され 仕方なく 自宅学習となった 最初の半年間は 中学3年時の担任の先生の助力もあり 何とかやる気を維持できた しかし 半年をすぎる頃には 一体なんのために勉強しているのか 周りからはどう見られている... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし55

    わたしは海外生まれの 日本育ち小中学校は 普通の学校に通った 中学3年の時 両親、主に父の期待に応えるため 市内1位の公立高校を 単願受験し 落ちて稀に見る 中学浪人を経験した 小さな握りこぶし

  • 小さな握りこぶし54

    BGMはラジオしかなく 歌うのは好きだったけど 空で歌えるほど 歌唱力に自信はなかった 「だから歌を歌うって言うより お互いの昔話とかどうかなって」 付き合い始めて もうすぐで半年になるのに お互いの事を ほとんど知らない 遠距離の性なんだろう まるで知り合って2週間くらいの 初々しさが残っている... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし53

    高速に乗るまでの間 涙が止まらず 車内のティッシュで 目頭を押さえた 「あーあ 泣かないつもりだったのに ごめんね」 「あ、うん」 いつまでも泣いていては 彼に申し訳がない 鼻をかんで 気持ちを切り替える 「長い道のりですが よろしくお願いします」 ここから約8時間 雪国までは遠い この日は春の嵐... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし52

    気づけばお母さんに抱きついて 涙を流していた お母さんはしばらくの間 わたしの背中を優しくさすり 何も言わず抱きしめてくれた どのくらいの時間 そうしていたのだろう 少しずつ高ぶった気持ちが 落ち着いていくのがわかった 「だいじょうぶ あなたなら、だいじょうぶ」 安心させるように 優しくお母さんが... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし51

    翌朝 いつものように食卓を囲む お父さんも お母さんも いつも通り わたしもいつも通りの …筈だった お父さんが彼に 朝刊の話題を振っていた 話し好きのお父さん 聞き役のお母さん ああ この団らんとも しばらくお別れかぁ …っ そう思った瞬間 どっと涙が溢れ出た みんなに気付かれないように さっと... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし50

    「やっぱ、長距離運転後の 動物園はキツい」 帰りの車内で彼が言う 「だから、言ったじゃん? 言う事聞かなかったの誰? 自業自得です」 彼はたまにへそ曲がりで 人の助言を無視して 自分を通すことがある やっぱり言った通りだった、と 後で言うのが たまに面倒臭い 家に着いたのは 17時まわった頃だった... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし49

    閉園のお時間が近づいております…" 園内アナウンスが流れる 「そろそろ、行こっか」 「うん…」 まだ目の前の小さな木の枝と 格闘している象を 名残惜しく見送りながら 足早に出口を目指した 一斉に出口へ向かう人々が まるで何かから逃げている様に 見えた 車に乗りこみ 動物園を後にする 「満足出来まし... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし48

    閉園間近で象も 屋内の檻でゆうご飯の木の枝を 食べていた 器用に前脚と鼻を使って 大きな枝を細かく裂いていく 私たちには容易いことだが 自分の身体を使って ここまでの芸当ができる象に 心から感動した 1度で裂くのは容易いことではない 檻の中の象は 何度も何度も 同じ枝を裂こうと 挑戦し続ける やっ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし47

    空っぽの檻を横目に まっすぐキリンの檻を目指す その手前の象の檻まで来た 「象見てく?」 彼が尋ねる いや、見たいのは山々だけど… 「ううん、止まったら動かないから キリン行く!」 ということで 象の檻を迂回した そして、しばらく行くと とうとうキリンの標識が目に入った 眼前にキリンの野外檻があり... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし46

    キリンの檻は 入口からいちばん遠い場所にあった 前回来た時は その手前の象の檻で 時間になるまで居座ったので キリンの檻までは行かなかった 彼はキリンを見たことが 無いらしいという事を 帰りの車内で話すものだから 罪悪感に襲われた 次回はキリンを見ようと 約束したのはその為だった というのも 不思... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし45

    ということで急遽 動物園へいくことに 調べてみると閉園が 午後4時30分 15時過ぎについたとして 1時間ちょっとは見て回れる 「しっかし元気だね とても8時間運転してきたとは 思えないよ」 本当にサイボーグか? 「あはは」 まあ、本人が良いのなら 良いのだ 動物園に着くと まだまだ入園者がいた ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし44

    久々の再会 お互いにぎこち無く 交わす言葉を選んでいた 「なにか飲む?」 「あ、うん じゃあいただきます」 お茶を入れていると 「今日はどうする?」 と彼が尋ねる 「うん?特に何もしないよ?」 「ふーん」 いや、だって 長時間運転で疲れてるでしょう? 「疲れてると思うから 布団敷いてあるし 寝てく... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし43

    その日 わたしの両親は仕事で 彼が着く予定の時間 家には私と愛犬だけだった 片道8時間という距離を 走ってくるのだから たいそう疲れているだろうと思い 床を用意する すると間もなく 慣れぬ車の音がした 窓のカーテンをチラッとめくると 彼のワンボックスカーが バックしながら テールランプを光らせてい... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし42

    翌朝6時 彼からメールが来ていた 「今から出発します」 「はーい 気をつけてね」 メールを返しながら 少しづつ不安がつのる 不安の方が大きくて "好きな人に会う"ドキドキ感は 全くと言っていいほど 湧いてこなかった はぁー わたし上手くやっていけるだろうか ここまで来たら "やっぱり止めます"とは... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし41

    診察を終えて 診療所を出ると 次は転出届をだしに 役場へ行った あーいよいよ 引っ越すんだなぁ 実感が湧いてきた もう後戻りはできない 行くだけだ 内心ビビっていた 引越しは2日後に迫っていた 翌日、彼が来る前の日は 人生初のパーマをかけ マツエクをした 面倒くさがりな私の なんちゃって化粧である... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし40

    「ですので、エコーで見て 問題ありそうだったら 内診をするってことでどうでしょう?」 すごく丁寧な応対だった 「はい」 「いきなり、内診ていうのは 初めてだと抵抗があるからね」 そう、そうなんですよ先生! 分かってらっしゃる 「そうですね、じゃあ エコーでお願いします」 初エコー ゼリー質の潤滑剤... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし39

    しばらくすると 名前を呼ばれ診察室に入った 案の定 補助の方は女性だが 医師は男性であった しかも割とおじさん マジかー 大丈夫かな? 「はい、お座り下さい」 診察が始まる 「えー、今日は 子宮頸がん検診という事だね」 「はい、そうです」 どんな感じかな? やっぱカメラとか入れるんかな? 怖いな ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし38

    今日は人生初 産婦人科に行く日 先日家に届いた 市の"子宮頸がん検診"はがき 今まで行ったことないけど これからは自分だけの身体じゃないから 引越し前に意を決して 受診を決めた 親友ママにオススメを聞いた 場所に行ってみると 内装は別段普通だが 患者が女性ばかりだった …当たり前だけど(笑) 問診... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし37

    お互い話は尽きないけれど もう出発の時間になっていた 「いやぁ、4年分は語りきらないけど 楽しい4時間だったよ! ありがとうね」 彼女が言った 「こちらこそ 時間作ってくれて ありがとう! また会おう」 そう言って帰りのバスに 乗り込んだ 充実した時間を過ごせた あまり やり取りがないからこそ た... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし36

    ふたりの関係は 俗に言う"ぬるま湯" お互い居心地がいい関係 付かず離れず 彼女もそれで諦めがつかず かと言って前進もなかった 「うーん 今まで通り進歩はない、かな」 思った通りでした 「えー。なんかこう、 前進しそうな兆しは無いの?」 「あはは(苦笑)」 無いらしい 1度振られている彼女は "居... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし35

    結婚前提にお付き合いする 彼ができて 雪国に越すことになった私は 最後に大学時代の先輩に メールを送った (この度、念願の彼氏ができ 雪国に嫁ぐ事になりました たくさんご迷惑を掛けましたが 先輩とのご縁は大切にしたいと思います これからも、よろしくお願いします) 先輩からの返信は …来なかった ま... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし34

    その後はお互いの近況報告 「そういえば あの彼とはどうなったの?」 彼女が一番気になっていたこと 「ああ、もう連絡取ってないよ」 ドイツに居た頃に ある事から 連絡を取り合うようになり 一方的に猛アタックしていた人がいた もともと大学の先輩で 研究室が一緒だった 帰国後も何度か 食事をしたり、映画... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし33

    塾は予備校ではないので 基本的に夕方 子供たちが学校から 帰るまでは仕事がない 朝から夕方まで 初めのうちは実家で 腐っていた 何をするでもなく 家事を一通りして お昼寝して 夕方になったら 仕事に行った 生活に活力がなかった このままでは 自分がダメになる 何かないかな、やる事 それも外に出る仕... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし32

    「その後は実家に戻ったんだけど 縁があって同じ系列の塾に お世話になって今に至る」 塾講師という仕事は 決められた時間しか 生徒といないが その分濃密な人間関係を 築くことも出来た 実際わたしは 多くの生徒から 先生と呼ばれていても "先生"とは思われていない様だった 私自身その方が 教えやすかっ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし31

    その寂しさを自覚して 受け入れた時 わたしは声優の道を諦めた 「辞めてからは 塾講師と居酒屋だけ続けてたの」 目標を失ったわたしは 1番責任が重い インストラクターを辞め 自然と塾講師の仕事に重きを置いていた 居酒屋は生活費のためであった こどもはどこまで行っても 純粋で 一緒の時間を過ごすと 心... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし30

    「声優学校は半年で辞めたの」 「え、なんで?」 彼女は不思議そうに尋ねてきた 無理もない わたしは絶対に声優になると そう言い切ってドイツを出たのだから 「うん、結論から言うと 結婚したかったから、かな」 私の通った声優学校は オーディションを経て入学し 半年ごとに昇格オーディションがある 講師は... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし29

    ドイツで恋愛したり 失恋したり ちょっと遅めの青春を 一緒に過ごした彼女は わたしが帰国したあと 仕事でフィンランドに移っていた 「お腹ペッコリータだよ いただきまーす」 朝早く出て 高速バスで約4時間 お腹に何も入れていなかった わたしは空腹で目が回りそうだった 「さて何処から話そうかな」 「ど... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし28

    彼女とはドイツで出会った わたしが働いていたレストランに お客として来たのがきっかけ 当時わたしは やっとウェイトレスとして 起用された頃で 必死に生きていた 「グーテンアーベント いらっしゃいませ!」 ドイツ人のお客さんばかりいる中に 自分と同じアジア系の2人連れで 彼女はやってきた もちろん面... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし27

    午後から仕事があるという 学友と別れ 2人目との待ち合わせ場所に向かう 相変わらず人でごった返す東京駅 午後になって 心なしか人がまた増えたようだった 2人目は海外で研究員をしている 5つ上の親友 彼女とはドイツに住んでいた頃に 出会った 実に4年ぶりの再会 連絡は密にしていた訳では無い 今回は ... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし26

    「ありがとう!」 引越しの日を 2週間後に控えたわたしは 東京で学友に会っていた 「雪国の人なんて どうやって出会ったの?」 まぁ 到底ふつうの出会い方は 出来ない地域どうし お見合い(小さな握りこぶし4,5,6) をした話をした 「え、すごく感動した 涙出てきた」 と彼女が目頭を抑える 「そ、そ... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし25

    「へえ、雪国?どうして?」 彼女は不思議そうに 目をこちらに向ける 「うん、彼と一緒に住むの」 「結婚するの!?」 歳も歳だし 結婚の字が浮かぶのは おかしくないのかもしれない でも 初カレ初カノのときめきを もっと感じていたかった 不安定で確約がない まっさらな恋心 喜びあったり 喧嘩したり 切... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし24

    何年ぶりかの東京 以前来た時はまだ 東京駅が改装工事中で 道がわかり易かったけど 見違える改装を遂げたそれは 方向音痴の私にとって もはや迷路以外の何物でもなかった 春休み期間の週末という事もあってか 人でごったがえしていた ひえー 早く合流しないと 人に酔いそう 急いで目的の改札へ向かう 時折矢... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし23

    さて、引越しが 2週間後に迫っていた 結局、難しいことは考えずに 彼のプレゼントは サクッとネットで買った 買ってみてしまうと こっちの方が楽だった ように思える あとは、お詫びの 編みぐるみを編むだけ 今週、満開を迎えた 桜を見ながら わたしは東京へ向かっていた フィンランドに住む親友が 一時帰... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし22

    周りに悪態つきながら どう切り出そうか 考えていた時だった ふと我に返る瞬間 ひょっとしてコレって わたしの方が悪いのかも 彼がいつもニコニコ 笑って 「良いよ」 って言ってくれることが 当たり前だと 思い込んでた 思い上がってたのかも知れない 彼は全てを受け入れる体制でいる わたしは 少しずつ自... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし21

    「○✕の時計が欲しいな♪」 これを聞いた時 内心 え、なんで? と思った 実は○✕時計というのは 以前、大手のブランドと デザインが酷似しているという事で 先方から訴訟を起こされ 問題になったメーカーである 「○✕時計、好きなの?」 わたしはあまり世間体は 気にしない方だが 流石に好きな人が 詐欺... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし19

    テレビはこたつのすぐ近くにあるのに その音はとても遠くに聞こえる 「ちょっとわがまま 言ってみてもいい?」 真剣な話だけど ちょっと言いやすくしてみる 「うん、なに?」 これで後には引けなくなった いけ、わたし 「えっとね わがまま言っちゃダメだけど 家に一人ぼっちは寂しいので お家に置いてもらえ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし18

    「あのね」 何から言えばいいんだろう 引っ越すこと? 同棲したいこと? まとまらないまま話し出す 「実はいま、 こっちに引っ越す事考えてるの」 引越しの話から切り出す 「うん」 彼は少し驚いた様子で こちらを見た 「なんでかって言うとね わたしの仕事ちょうど3月末が 区切りがいいの」 わたしは講師... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし17

    彼のアパートで過ごす 最後の夜 温泉に浸かったあと スーパーによって 晩ご飯 主にお酒とつまみを買って こたつに入っている 彼はテレビを見るのが好きらしく なにかの番組が煌々と流れていた 「うん」 彼は2本目のビールを開け 目がとろとろしていた 本当に大丈夫かな? 半信半疑で切り出す 小さな握りこ... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし16

    「もちろんOKっすよー ウォーキングとかしたかったんだけど 1人じゃ寂しくてねー(笑)」 彼もまた 私とおんなじ性分だったらしい 「良かった わたしも! やっぱり1人は寂しいよねー あなたが居てよかった」 これなら長年続かなかった ダイエットが実りそう ついでに彼を豚さんに 逆戻りさせずに済みそう... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし15

    「ねえ、俺の部屋に泊まるの 大丈夫だった?」 ただいま、年が明けて 神社に初詣した後の 彼のアパート 少しふたりでお酒を飲みながら おしゃべりする 「うん ホテル代浮いたし 実家はお兄さん、いらっしゃるでしょ? 泊めてもらえて良かったよ」 倹約家のわたしは 特に自分のために お金を使うことが あま... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし14-3(回想編)

    彼のお母さんに迎えに来てもらい アパートに着いたのは 夜の11時をまわった頃だった 久しぶりにアルコールが入ったわたしは 眠りに落ちる寸前であった 「お母さん 夜遅くにお手数お掛けしました ありがとうございました」 「いいえ 楽しんだのなら良かったわ」 お母さんには頭が上がらない 「じゃあ、明日の... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし14-2(回想編)

    「冷たくない?」 彼が心配そうに声を掛ける 「ううん、気持ち良い」 なんだか涙が出てきた 自然ってすごいな この大自然の中で 雪の冷たさすら心地よく感じる 生命の営みに包まれているよう 「そっか」 「うん」 もはや言葉はいらなかった どのくらいの時間が 流れたんだろう 彼は何も言わず ただ傍に居て... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし14(回想編)

    〜回想〜 年末の仕事収めをして 身支度をしている 明日から4泊5日 彼の家にお泊まりです 本当はホテル借りるか 迷ったんだけど お金が無い経済事情 知った仲だし 彼の実家は お兄さんが同居中のため 彼のアパートに置いて頂くことになりました ワクワクとドキドキ 次の日 最寄り駅まで 彼が迎えに来てく... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし13

    「〇〇君てS?」 お昼休憩にふと聞いてみた 6つ歳上の彼に 君付けのわたし でも 幼い彼は 歳上感がなくて さん、よりは君 の方がしっくりくる しばらくして 「突然なに?(笑)」 まぁ、そうですよね なんの話題を振ったわけでもなく いきなりSですかって 答えに困るわな なんか聞いてはいけない事を ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし12

    (…説明してなかった俺の責任です ごめん) ううん、違うよ これは 私の責任 『ううん、違うの ケジメとして、わたしが 言わなきゃいけなかったの 今日、ご両親に電話して直接 "来月からお世話になります 不束者ですが、よろしくお願いします" って伝えたから もうだいじょうぶ ありがとう 』 いろいろ... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし11

    夜が明けて 朝日が射している 「おはよう」 いつもより ちょっぴり爽やかな朝 「おはよう」 彼も今日は 返事が幾分はやかった 朝ごはんを食べて 洗濯物を干すと もうすぐ8時になるところ 仕事終わりが遅い私は 出勤前に 電話を入れる事にした いきなり実家は どうかと思ったので 彼のお母さんの携帯にダ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし10

    プルルル プルルル なんか電話口で待たされると 緊張してくる プルルル プルルル 2コールで出ないのは いつもの事 たぶん寝てるか 出るのに戸惑ってるか いやいや 私も緊張してるからね? …ガチャ 「もしもし」 「あ、もしもーし」 女子を電話口で焦らすとは さてはSか 「うん、どうしたの」 「うん... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし9

    「あっ…うん じゃあね」 彼の声を聞き届けて 電話を切った またやっちゃった… 自分の恥ずかしさを優先してしまう 彼の言葉を待ってあげられなかった 彼女としてどうなの、わたし! 後悔するくらいなら 耐えればよかったんだろうけど… …はあ… 1人反省会をしながら 家へ戻る しばらくして 彼からのメー... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし8

    「おはよう」 最近 …寝不足気味である というのは 3日前から 寝る前の日課に 日記を書き始めたからである 仕事を終えて帰宅してから 身支度を済ませて 書き始める 日記を書いていて 気付いたことは 書いている間は 自分と向き合えることだった 良い悪いではなく いろいろな気持ちを整理する上で 日記を... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし7

    わたしは布団に仰向けになる 彼が私の上にまたがっている 薄暗い中 息遣いだけが 聞こえてくる 彼がそっと私の髪に 指を滑らせる その指はやがて頬を伝い 唇を撫でる 「キス…して」 そういうと彼は 「うん、わかった」 と答えながら ゆっくり唇を近づけた 「…ん」 柔らかい彼の唇が そっと重なった ど... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし6

    しばらくして バイブが鳴る 「全然気にしてないから だいじょうぶ! それより忙しい時期に 会いに行きたいって言ったこと 反省してた 俺も楽しみにしてます 雪持っていこうか?(笑)」 キュン 心臓つかまれた なんで なんでそんなに 優しいの わたしダメなとこばっかりなのに なんで 「あなたが反省する... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし5-5

    迷わずリダイヤルする プルルル プルルル …あれ、出ない プルルル プルルル …もしかして寝ちゃったのかな それとも 誤解されたまま 嫌われちゃったのかな …お願い … 電話に出てくださいっ! …ガチャ 「もしもし」 わー神さま仏さまーー ありがとう 「あ、もしもし 今だいじょうぶ?」 「あ、うん... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし5-4

    さーてと すべき事をやり切った わたしは 居間に降りていき 冷蔵庫から冷えた牛乳を グラスに注いだ 「彼、なんだって?」 台所の片付けをしていた 母がおもむろに聞いてきた 「え?うん 三連休空いてるか聞かれたけど 仕事繁忙期だし断った」 母は目を丸くした 「そう」 なんか変な感じだったけど あまり... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし5-3

    …というわけで 彼に秘密にしている事 今夜打ち明けるぞ! 仕事が終わって 彼に電話をかけようと 画面に名前を表示する うわーなんて言おう 取り敢えず 昨日のこと言ってくれて ありがとう言って それから 私も打ち明けることがある って言って それからそれから わーーー もう変な事言いそう 紙に書くか... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし5-2

    「ポテトのLひとつと コーヒーMひとつ あと紅茶Sホットストレートで」 店内は私たち以外に 家族連れが1組 プレートを受け取り 席に着いた まだ冬真っ只中で ガラスが曇っていた 彼女は前の彼と別れてから 死んだようにやつれていた 詳細は聞けなかったが どうやら長い間暴力を 受けていたらしかった そ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし5-1

    「おはよう」 毎朝日課のあいさつ わたしの方が早い ふたりの距離を なるべく感じないように 彼に告白された日から わたしが送り始めた めんどくさいって 思う人もいるかもしれない でも、やってみないと 分からない 何よりわたしは 彼を近くに感じていたかった 「おはよう」 いつもなら10分ほどで そう... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし4(告白編)

    会場のセッティング待ち 控え室はもちろん男女別 各々のフリータイムを終えた ライバル達が反省会をしている (どうしよう…緊張するねぇ) (私たぶんダメだと思う…) (もっと話しておけば良かったなぁ) (大丈夫だよ、自信もって!) それぞれの想いを胸に秘め つかの間の休息 数人、仲良くなった子が 話... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし4(後編)

    「そっか…(笑)」 なんだか拍子抜けして 思わずタメ語になってしまった 私のさっきの決意を かえせーー(笑) と叫びたくなった でも ちょっと抜けているところが また可愛くもある そして どんな理由であれ 私を選んでくれたのが とても嬉しい もうひとつ分かったのは 彼は絶対に嘘がつけない 純粋無垢... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし4(前編)

    ふたりの出会いは お見合いだった 彼はもともと 参加しないつもりだったらしい 一方私はと言うと お見合いは今までに… 2〜3回くらいかな 昔のトラウマで 男性には どうも積極的になれない とは言っても 生涯一人は嫌だった 意を決して参加した 街中の婚活パーティ カップリングしたのは 1回きり 数回... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし3

    大晦日、彼の実家にて 食卓には大きなカニ鍋 色とりどりのお寿司に 旬のゼンマイと焼きジャケ 極めつけは 彼のお母さん手作りの おせち料理が回転皿に 綺麗に盛り付けられていた この辺りの風習で 大晦日には一人1尾 焼きジャケを食べるのだとか 実は彼の実家は 初めてでは無かった 仕事納めをした翌日から... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし2

    「今朝、ダイアモンドダスト見れたよ! 真ん中でキラキラしてるの 見えるかな?」 朝、おはようの挨拶を交わしたあと 写メと一緒に送られてきた 彼は雪国に住んでいる 朝から可愛い女子高生と話しているような 妙な気分になった 無垢な顔で目を輝かせながら 手のひらより小さな携帯で 写メを撮る彼を 携帯越し... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし

    彼氏が出来た 彼氏いない歴=実年齢だった私 学生時代は 親に好かれようと 良い子ちゃん、してたっけ 部活して、バイトして 気が付いたら 社会人で 自分の夢追っかけて 海外まで行っちゃった 現地では 騙され、家なき子1/2年生 こんな筈じゃなかったのに でも、後悔は口に出さず 残り1/2年は満喫した... 続きをみる

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