小さな握りこぶし31
その寂しさを自覚して
受け入れた時
わたしは声優の道を諦めた
「辞めてからは
塾講師と居酒屋だけ続けてたの」
目標を失ったわたしは
1番責任が重い
インストラクターを辞め
自然と塾講師の仕事に重きを置いていた
居酒屋は生活費のためであった
こどもはどこまで行っても
純粋で
一緒の時間を過ごすと
心が洗われるようだった
不思議だったが
嫌ではなかった
子を見れば親がわかる
他人は自分を写す鏡
先人の教訓を実感できた
わたしは講師と生徒という
枠を取り払って
ただ純粋に自分の知識を
後世に伝えていきたいと
考えるようになっていた
愚痴をひたすら聞くだけの時間や
勉強から離れる時間が
必要な時もある
なぞなぞをしたり
絵しりとりをしたり
合間に気分転換を
取り入れたりもした
小さな握りこぶし