恋愛&小説のブログ

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2018年4月のブログ記事

  • 小さな握りこぶし52

    気づけばお母さんに抱きついて 涙を流していた お母さんはしばらくの間 わたしの背中を優しくさすり 何も言わず抱きしめてくれた どのくらいの時間 そうしていたのだろう 少しずつ高ぶった気持ちが 落ち着いていくのがわかった 「だいじょうぶ あなたなら、だいじょうぶ」 安心させるように 優しくお母さんが... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし51

    翌朝 いつものように食卓を囲む お父さんも お母さんも いつも通り わたしもいつも通りの …筈だった お父さんが彼に 朝刊の話題を振っていた 話し好きのお父さん 聞き役のお母さん ああ この団らんとも しばらくお別れかぁ …っ そう思った瞬間 どっと涙が溢れ出た みんなに気付かれないように さっと... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし50

    「やっぱ、長距離運転後の 動物園はキツい」 帰りの車内で彼が言う 「だから、言ったじゃん? 言う事聞かなかったの誰? 自業自得です」 彼はたまにへそ曲がりで 人の助言を無視して 自分を通すことがある やっぱり言った通りだった、と 後で言うのが たまに面倒臭い 家に着いたのは 17時まわった頃だった... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし49

    閉園のお時間が近づいております…" 園内アナウンスが流れる 「そろそろ、行こっか」 「うん…」 まだ目の前の小さな木の枝と 格闘している象を 名残惜しく見送りながら 足早に出口を目指した 一斉に出口へ向かう人々が まるで何かから逃げている様に 見えた 車に乗りこみ 動物園を後にする 「満足出来まし... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし48

    閉園間近で象も 屋内の檻でゆうご飯の木の枝を 食べていた 器用に前脚と鼻を使って 大きな枝を細かく裂いていく 私たちには容易いことだが 自分の身体を使って ここまでの芸当ができる象に 心から感動した 1度で裂くのは容易いことではない 檻の中の象は 何度も何度も 同じ枝を裂こうと 挑戦し続ける やっ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし47

    空っぽの檻を横目に まっすぐキリンの檻を目指す その手前の象の檻まで来た 「象見てく?」 彼が尋ねる いや、見たいのは山々だけど… 「ううん、止まったら動かないから キリン行く!」 ということで 象の檻を迂回した そして、しばらく行くと とうとうキリンの標識が目に入った 眼前にキリンの野外檻があり... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし46

    キリンの檻は 入口からいちばん遠い場所にあった 前回来た時は その手前の象の檻で 時間になるまで居座ったので キリンの檻までは行かなかった 彼はキリンを見たことが 無いらしいという事を 帰りの車内で話すものだから 罪悪感に襲われた 次回はキリンを見ようと 約束したのはその為だった というのも 不思... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし45

    ということで急遽 動物園へいくことに 調べてみると閉園が 午後4時30分 15時過ぎについたとして 1時間ちょっとは見て回れる 「しっかし元気だね とても8時間運転してきたとは 思えないよ」 本当にサイボーグか? 「あはは」 まあ、本人が良いのなら 良いのだ 動物園に着くと まだまだ入園者がいた ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし44

    久々の再会 お互いにぎこち無く 交わす言葉を選んでいた 「なにか飲む?」 「あ、うん じゃあいただきます」 お茶を入れていると 「今日はどうする?」 と彼が尋ねる 「うん?特に何もしないよ?」 「ふーん」 いや、だって 長時間運転で疲れてるでしょう? 「疲れてると思うから 布団敷いてあるし 寝てく... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし43

    その日 わたしの両親は仕事で 彼が着く予定の時間 家には私と愛犬だけだった 片道8時間という距離を 走ってくるのだから たいそう疲れているだろうと思い 床を用意する すると間もなく 慣れぬ車の音がした 窓のカーテンをチラッとめくると 彼のワンボックスカーが バックしながら テールランプを光らせてい... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし42

    翌朝6時 彼からメールが来ていた 「今から出発します」 「はーい 気をつけてね」 メールを返しながら 少しづつ不安がつのる 不安の方が大きくて "好きな人に会う"ドキドキ感は 全くと言っていいほど 湧いてこなかった はぁー わたし上手くやっていけるだろうか ここまで来たら "やっぱり止めます"とは... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし41

    診察を終えて 診療所を出ると 次は転出届をだしに 役場へ行った あーいよいよ 引っ越すんだなぁ 実感が湧いてきた もう後戻りはできない 行くだけだ 内心ビビっていた 引越しは2日後に迫っていた 翌日、彼が来る前の日は 人生初のパーマをかけ マツエクをした 面倒くさがりな私の なんちゃって化粧である... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし40

    「ですので、エコーで見て 問題ありそうだったら 内診をするってことでどうでしょう?」 すごく丁寧な応対だった 「はい」 「いきなり、内診ていうのは 初めてだと抵抗があるからね」 そう、そうなんですよ先生! 分かってらっしゃる 「そうですね、じゃあ エコーでお願いします」 初エコー ゼリー質の潤滑剤... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし39

    しばらくすると 名前を呼ばれ診察室に入った 案の定 補助の方は女性だが 医師は男性であった しかも割とおじさん マジかー 大丈夫かな? 「はい、お座り下さい」 診察が始まる 「えー、今日は 子宮頸がん検診という事だね」 「はい、そうです」 どんな感じかな? やっぱカメラとか入れるんかな? 怖いな ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし38

    今日は人生初 産婦人科に行く日 先日家に届いた 市の"子宮頸がん検診"はがき 今まで行ったことないけど これからは自分だけの身体じゃないから 引越し前に意を決して 受診を決めた 親友ママにオススメを聞いた 場所に行ってみると 内装は別段普通だが 患者が女性ばかりだった …当たり前だけど(笑) 問診... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし37

    お互い話は尽きないけれど もう出発の時間になっていた 「いやぁ、4年分は語りきらないけど 楽しい4時間だったよ! ありがとうね」 彼女が言った 「こちらこそ 時間作ってくれて ありがとう! また会おう」 そう言って帰りのバスに 乗り込んだ 充実した時間を過ごせた あまり やり取りがないからこそ た... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし36

    ふたりの関係は 俗に言う"ぬるま湯" お互い居心地がいい関係 付かず離れず 彼女もそれで諦めがつかず かと言って前進もなかった 「うーん 今まで通り進歩はない、かな」 思った通りでした 「えー。なんかこう、 前進しそうな兆しは無いの?」 「あはは(苦笑)」 無いらしい 1度振られている彼女は "居... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし35

    結婚前提にお付き合いする 彼ができて 雪国に越すことになった私は 最後に大学時代の先輩に メールを送った (この度、念願の彼氏ができ 雪国に嫁ぐ事になりました たくさんご迷惑を掛けましたが 先輩とのご縁は大切にしたいと思います これからも、よろしくお願いします) 先輩からの返信は …来なかった ま... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし34

    その後はお互いの近況報告 「そういえば あの彼とはどうなったの?」 彼女が一番気になっていたこと 「ああ、もう連絡取ってないよ」 ドイツに居た頃に ある事から 連絡を取り合うようになり 一方的に猛アタックしていた人がいた もともと大学の先輩で 研究室が一緒だった 帰国後も何度か 食事をしたり、映画... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし33

    塾は予備校ではないので 基本的に夕方 子供たちが学校から 帰るまでは仕事がない 朝から夕方まで 初めのうちは実家で 腐っていた 何をするでもなく 家事を一通りして お昼寝して 夕方になったら 仕事に行った 生活に活力がなかった このままでは 自分がダメになる 何かないかな、やる事 それも外に出る仕... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし32

    「その後は実家に戻ったんだけど 縁があって同じ系列の塾に お世話になって今に至る」 塾講師という仕事は 決められた時間しか 生徒といないが その分濃密な人間関係を 築くことも出来た 実際わたしは 多くの生徒から 先生と呼ばれていても "先生"とは思われていない様だった 私自身その方が 教えやすかっ... 続きをみる

  • 小さな握りこぶし31

    その寂しさを自覚して 受け入れた時 わたしは声優の道を諦めた 「辞めてからは 塾講師と居酒屋だけ続けてたの」 目標を失ったわたしは 1番責任が重い インストラクターを辞め 自然と塾講師の仕事に重きを置いていた 居酒屋は生活費のためであった こどもはどこまで行っても 純粋で 一緒の時間を過ごすと 心... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし30

    「声優学校は半年で辞めたの」 「え、なんで?」 彼女は不思議そうに尋ねてきた 無理もない わたしは絶対に声優になると そう言い切ってドイツを出たのだから 「うん、結論から言うと 結婚したかったから、かな」 私の通った声優学校は オーディションを経て入学し 半年ごとに昇格オーディションがある 講師は... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし29

    ドイツで恋愛したり 失恋したり ちょっと遅めの青春を 一緒に過ごした彼女は わたしが帰国したあと 仕事でフィンランドに移っていた 「お腹ペッコリータだよ いただきまーす」 朝早く出て 高速バスで約4時間 お腹に何も入れていなかった わたしは空腹で目が回りそうだった 「さて何処から話そうかな」 「ど... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし28

    彼女とはドイツで出会った わたしが働いていたレストランに お客として来たのがきっかけ 当時わたしは やっとウェイトレスとして 起用された頃で 必死に生きていた 「グーテンアーベント いらっしゃいませ!」 ドイツ人のお客さんばかりいる中に 自分と同じアジア系の2人連れで 彼女はやってきた もちろん面... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし27

    午後から仕事があるという 学友と別れ 2人目との待ち合わせ場所に向かう 相変わらず人でごった返す東京駅 午後になって 心なしか人がまた増えたようだった 2人目は海外で研究員をしている 5つ上の親友 彼女とはドイツに住んでいた頃に 出会った 実に4年ぶりの再会 連絡は密にしていた訳では無い 今回は ... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし26

    「ありがとう!」 引越しの日を 2週間後に控えたわたしは 東京で学友に会っていた 「雪国の人なんて どうやって出会ったの?」 まぁ 到底ふつうの出会い方は 出来ない地域どうし お見合い(小さな握りこぶし4,5,6) をした話をした 「え、すごく感動した 涙出てきた」 と彼女が目頭を抑える 「そ、そ... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし25

    「へえ、雪国?どうして?」 彼女は不思議そうに 目をこちらに向ける 「うん、彼と一緒に住むの」 「結婚するの!?」 歳も歳だし 結婚の字が浮かぶのは おかしくないのかもしれない でも 初カレ初カノのときめきを もっと感じていたかった 不安定で確約がない まっさらな恋心 喜びあったり 喧嘩したり 切... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし24

    何年ぶりかの東京 以前来た時はまだ 東京駅が改装工事中で 道がわかり易かったけど 見違える改装を遂げたそれは 方向音痴の私にとって もはや迷路以外の何物でもなかった 春休み期間の週末という事もあってか 人でごったがえしていた ひえー 早く合流しないと 人に酔いそう 急いで目的の改札へ向かう 時折矢... 続きをみる

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  • 小さな握りこぶし23

    さて、引越しが 2週間後に迫っていた 結局、難しいことは考えずに 彼のプレゼントは サクッとネットで買った 買ってみてしまうと こっちの方が楽だった ように思える あとは、お詫びの 編みぐるみを編むだけ 今週、満開を迎えた 桜を見ながら わたしは東京へ向かっていた フィンランドに住む親友が 一時帰... 続きをみる