小さな握りこぶし42
翌朝6時
彼からメールが来ていた
「今から出発します」
「はーい
気をつけてね」
メールを返しながら
少しづつ不安がつのる
不安の方が大きくて
"好きな人に会う"ドキドキ感は
全くと言っていいほど
湧いてこなかった
はぁー
わたし上手くやっていけるだろうか
ここまで来たら
"やっぱり止めます"とは
とても言えない
心の中で
彼が少しでも遅く着くように
願っていた
一方の彼は
順調に東京まで南下し
「今、神奈川にいます
順調に走行中(^-^)」
と返してくるのであった
人の気も知らんと
まぁ、彼にも
少なからず不安はあるのだろうが
まったく感じさせない
理由もなく益々
不安になっていくのであった
もう彼は目の前まで
来ている
小さな握りこぶし