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小さな握りこぶし43

その日


わたしの両親は仕事で


彼が着く予定の時間


家には私と愛犬だけだった


片道8時間という距離を


走ってくるのだから


たいそう疲れているだろうと思い


床を用意する


すると間もなく


慣れぬ車の音がした


窓のカーテンをチラッとめくると


彼のワンボックスカーが


バックしながら


テールランプを光らせていた


いよいよ来た


ピーンポーン


呼び鈴が鳴り


約2ヶ月ぶりの再会をする


「久しぶり」


「うん、よく来たね


上がって」


小さな握りこぶし

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