小さな握りこぶし59
合格通知が来た瞬間
ああ、高校生になれるんだ
また学校に通えるんだ
もはや、どの高校に行くかは
些細な問題にもならなかった
ただただ
高校生になれる確証が得られただけで
満足であった
当時の気持ちは
今思い返してみても
表現できる言葉がない
感動とは違う
1人きり落とされた落とし穴から
カッコ良く這い出そうとしていたところに
綱ばしごではなく
麻のロープが降りてきた感じ
でも、その麻のロープが
わたしの目には
黄金の生糸に映った
そんな事もあって
公立入試は正直
どうでも良くなっていた
受かろうと受からまいと
高校生になれるという実感の方が
大きかった
そして偶然にも一つ下の弟と
同じ高校同じ学年になった
違和感があったが
8クラスある中で
わたしのいる2組と
弟のいる8組とは
かなり離れていたので
学校内で会うのは
部活の時ぐらいだった
小学校から始めた
卓球部にふたりで所属した
小さな握りこぶし