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小さな握りこぶし5-5

迷わずリダイヤルする


プルルル


プルルル


…あれ、出ない


プルルル


プルルル


…もしかして寝ちゃったのかな


それとも


誤解されたまま


嫌われちゃったのかな


…お願い



電話に出てくださいっ!


…ガチャ


「もしもし」


わー神さま仏さまーー


ありがとう


「あ、もしもし


今だいじょうぶ?」


「あ、うん


大丈夫だけど」


「その…謝りたくて


ごめんなさい!」


「うん?どうしたの?」


彼は謝罪される覚えがないという感じだ


「さっき自分の言いたいことだけ


言い切って、


あなたの話


なんにも考えずに


断っちゃったの」


「あ、そうなんだ(笑)」


どうやら怒ってはいない様子


「うん、三連休の話


仕事で無理だって


断ったって言ったら


めっちゃ怒られた…」


「え、だれに?」


「…両親」


「そうなんだ」


「うん


"来てくれるって言ってるのに


断る奴があるかー!"って」


「あはは(笑)」


笑ってる


まだギリギリセーフ…


だったのかな


「それでね


その話なんだけど」


「うん」


「どうしても仕事休めないの


だから一緒にいる時間


少なくなっちゃうと思う」


「うん」


「でも、それでも良かったら


ぜひ来てください」


来てくれるかな


これでダメだったら


自分のせいだしね


彼は何も悪くない


「うん、じゃあ…


お邪魔しようかな」


本当に?


やった、良かった!


「うん!」


ふたりの絆は


壊れてない


「到着時間はまた連絡するね」


彼が明るい声で言う


ああ、そうか


彼は本当に来たかったんだ


それをわたしは…


「はーい


じゃあ、またね


おやすみ」


…ほーんと


無神経だ


「おやすみ」


今度彼に会ったときには


最大限のお礼をしよう


わたしは居間に降りて


テレビを観ている二人に言った


「三連休、来てくれるって!」


両親は笑顔で


「良かったね」


と言ってくれた


あとはもう1つ


言わなければいけない事がある


「お父さん、お母さん


気付かせてくれて


ありがとう」


両親はいつも私のことを


大切に思って導いてくれる


本当に頭が上がらない


お陰で人として


彼女として


一歩前に進めたんだ


色々疲れたけど


良く眠れそうだ


良い人に巡り合ったな


わたし


これからは彼のことを


もっと大事にしていかなきゃ


そして布団の中で


一人反省会をする


今日の私は自己中だった


自分のことだけ考えて


親に言われなきゃ


大事なものを


大事な人を


失うところだった


新幹線で片道4時間の距離


決して近くはない


でも心の距離は


いつも近くに居たい


仕事に熱中しすぎて


彼のことが見えなくなっていた


さっきの言い方で


良かったのかな?


ふとそんな疑問が浮かんだ


彼に言った言葉は


ちゃんと私の言葉だった?


…ううん、違う


あれは


…お母さんの言葉


お父さんに言われて


しょうがなくオーケーしたんだと


受け取られたかもしれない


(こっちに来たいって言ってるのに


断るとは何事だ)


まるで私よりも両親が


彼を心待ちにしているかのように


聞こえるじゃない


聞こえるよね?


事実ふたりとも


楽しみにしているのは


間違いないけど


…でも


わたしの方が気持ちは上だもん!


このままじゃダメだ


私の言葉で


会いたい気持ちを伝えなきゃ


でも、どうしよう


時間はもう電話するには遅いし


明日朝一で電話する?


ううん、きっと


今の気持ちが薄れちゃう


言葉にしても


上手くまとまらなそうだった


逃げているようだけど


確実に伝える方法にした


メール画面を開いて


文字を打ち始める


『 一晩考えました。


昨晩のわたしは


最低の自己中でした。


両親に言われて


仕方なくオーケーしたように


思わせたかも知れません。


会いたいって伝える事が


どれだけ勇気のいることか。


あなたの勇気を


易々と踏みにじりました。


本当にごめんなさい。


反省しています。


会いたいって言ってくれて


嬉しかった。


ありがとう。


会えるのを心から


楽しみにしています。』


こんな言葉すら


彼の前では出なくなる


頭がホワイトアウトする


メール打ってる間は


嫌いになりませんように


嫌いになりませんように


って願掛けしながら


打っている自分がいる


あーわたし


彼のことがこんなにも


好きなんだ


送信予約をして


眠りについた


早く朝、来ないかな


翌朝


「おはよう」


いつもと変わらず


挨拶をする


メールは既に


送信済みになっていた


「おはよう」


返事が来た


メールはもう読んだのかな?


なんか


胸の中がスッキリしなくて


モヤモヤする


がんばれわたし


小さな握りこぶし

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