恋愛&小説のブログ

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小さな握りこぶし49

閉園のお時間が近づいております…"


園内アナウンスが流れる


「そろそろ、行こっか」


「うん…」


まだ目の前の小さな木の枝と


格闘している象を


名残惜しく見送りながら


足早に出口を目指した


一斉に出口へ向かう人々が


まるで何かから逃げている様に


見えた


車に乗りこみ


動物園を後にする


「満足出来ましたか?」


彼に聞くと


「うん、満足出来ました」


と照れながら答える


こういう時の彼は


本当に


頼りない可愛い子供に映る


さて、急いで家に向かう


晩ご飯を食べて眠りにつけば


いよいよこの地とも


しばしのお別れだ


小さな握りこぶし

小さな握りこぶし48

閉園間近で象も


屋内の檻でゆうご飯の木の枝を


食べていた


器用に前脚と鼻を使って


大きな枝を細かく裂いていく


私たちには容易いことだが


自分の身体を使って


ここまでの芸当ができる象に


心から感動した


1度で裂くのは容易いことではない


檻の中の象は


何度も何度も


同じ枝を裂こうと


挑戦し続ける


やっと裂けた時の悦びを


彼は感じているのだろうか


わたしはその姿に


ただただ見とれるばかりであった


小さな握りこぶし

小さな握りこぶし47

空っぽの檻を横目に


まっすぐキリンの檻を目指す


その手前の象の檻まで来た


「象見てく?」


彼が尋ねる


いや、見たいのは山々だけど…


「ううん、止まったら動かないから


キリン行く!」


ということで


象の檻を迂回した


そして、しばらく行くと


とうとうキリンの標識が目に入った


眼前にキリンの野外檻があり


ふたりで駆け寄る


ところが見渡せど


檻の中には


鹿とダチョウしかいない


「あれ?外には居ないねー


屋内入っちゃったのかな」


キリンの部屋という場所を見つけ


入ってみる


居た


大きい目と長いまつ毛


キリンさんは食事中だった


「おおーキリンだ」


わたしは久々に見るキリンに


見入っていた


こんなに大きかっただろうか


記憶にあるキリンは


小学生の時に見た


ひたすら全てが長い生き物だった


すらっと伸びた四肢


ちょこんと乗った胴から


どこまでも伸びる首


頭なんて


お飾り程度に付いている認識だった


改めて見ると


とても優しい目をしていた


念願叶った彼はというと


偶然にも自分と同名であった


キリンの雄をマジマジと


見つめていた


かと思うと


「蜘蛛の巣すごい」


いきなり何を言い出すかと思えば


「キリン見てたんじゃないの?(笑)」


「いやぁ、気になって(笑)」


これだからA型は面倒臭い


(※A型のみなさま、ごめんなさい)


しばらく見入っていると


「もういいや、ありがとう」


彼が言う


「もう満足?」


「うん、満足」


さて、閉園まであと


30分


「象見に行こっか」


待ってましたー


「いいの?やった!」


ということで


テンションをあげて


象の檻まで引き返す


小さな握りこぶし