恋愛&小説のブログ

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小さな握りこぶし55

わたしは海外生まれの


日本育ち小中学校は


普通の学校に通った


中学3年の時


両親、主に父の期待に応えるため


市内1位の公立高校を


単願受験し


落ちて稀に見る


中学浪人を経験した


小さな握りこぶし

小さな握りこぶし54

BGMはラジオしかなく


歌うのは好きだったけど


空で歌えるほど


歌唱力に自信はなかった


「だから歌を歌うって言うより


お互いの昔話とかどうかなって」


付き合い始めて


もうすぐで半年になるのに


お互いの事を


ほとんど知らない


遠距離の性なんだろう


まるで知り合って2週間くらいの


初々しさが残っている


「う、うん」


戸惑う彼に気を利かせて


わたしから話し始める


「どっから話そうかな」


私の波瀾万丈の物語


小さな握りこぶし

小さな握りこぶし53

高速に乗るまでの間


涙が止まらず


車内のティッシュで


目頭を押さえた


「あーあ


泣かないつもりだったのに


ごめんね」


「あ、うん」


いつまでも泣いていては


彼に申し訳がない


鼻をかんで


気持ちを切り替える


「長い道のりですが


よろしくお願いします」


ここから約8時間


雪国までは遠い


この日は春の嵐で


朝から雨と風が吹き荒れていた


わたしの引越し荷物を乗せた


ワンボックスカーが


風の影響で押される


少し怖かった


しかも異性と


ふたりきりのドライブなんて人生初


前日、友達に相談しておいた


「あのね」


前置きを挟んで切り出す


「ロングドライブで助手席は


何をすればいいか


友達に相談したら」


「うん」


彼は車線変更しながらも


ちゃんと聞いているようだった


「隣で歌を歌っとけと言われた」


「え(笑)」


小さな握りこぶし