小さな握りこぶし49
閉園のお時間が近づいております…"
園内アナウンスが流れる
「そろそろ、行こっか」
「うん…」
まだ目の前の小さな木の枝と
格闘している象を
名残惜しく見送りながら
足早に出口を目指した
一斉に出口へ向かう人々が
まるで何かから逃げている様に
見えた
車に乗りこみ
動物園を後にする
「満足出来ましたか?」
彼に聞くと
「うん、満足出来ました」
と照れながら答える
こういう時の彼は
本当に
頼りない可愛い子供に映る
さて、急いで家に向かう
晩ご飯を食べて眠りにつけば
いよいよこの地とも
しばしのお別れだ
小さな握りこぶし