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小さな握りこぶし5-1

「おはよう」


毎朝日課のあいさつ


わたしの方が早い


ふたりの距離を


なるべく感じないように


彼に告白された日から


わたしが送り始めた


めんどくさいって


思う人もいるかもしれない


でも、やってみないと


分からない


何よりわたしは


彼を近くに感じていたかった


「おはよう」


いつもなら10分ほどで


そう返ってくるはずだった


今日はいつまで経っても


メッセージが来ない


寝坊かな


30分ほど遅れて


「おはよう


除雪サボっちゃった」


雪国に住む彼は


仕事がなくても


職場の除雪作業を


することになっていた


「うん、それで


あなたはどうするつもり?」


社会人として人として


彼がどう行動するか


知りたかった


もっとも


メッセージにテヘペロなんて


子供じみたことが添えてあれば


その時点で価値観の違いが


明白になっていて


返信すらしなかったが


彼のメールは至って真剣だった


私なら手土産の一つでも持って


翌朝一番に職場へ行き


全員に謝罪して回るだろうな


「明日朝一で職場行って


みんなの二倍働きます!」


わたしはお菓子で


許してもらおうと考えた


自分の浅はかさが


恥ずかしくなった


仕事の失敗は仕事で返す


かっこいいなぁ、もう


こういう時に


彼が年上であったことを


改めて実感して


人として凄いなと


素直に尊敬するのであった


「うん、良いと思う


ただ、どうせやるなら


二倍なんてケチい事は言わずに


みんなの仕事取るつもりで


行ってらっしゃい」


わたしは中途半端が嫌い


何事もやるなら全力で


やりきる方がいい


わたしも真剣に答える


「はい、了解です!」


なんだか偉そうに言ってしまった


彼は純粋で幼げで


見ていてハラハラさせられる


母性本能というものだろうか


父親譲りの心配性で


放っておけない


仕事の間


言い過ぎたかなぁ


嫌な思いさせたかな


でも、仕事はきっちりしてないと


やっぱり嫌だしな


ずっと一人反省会をしていた


感情的になりやすく


言いすぎてしまったり


やり過ぎてしまう気がある


そう感じた時はいつも


一人反省会をするのだ


特に嫌われたくない相手には


とことん反省会をする


仕事をしながらも


頭の中は彼への気持ちで


いっぱいだった


翌朝


「おはよう」


いつものように


わたしから


数分後彼から


「おはよう


今から除雪行ってきます!」


今日は起きれたらしい


色んなことにホッとした


筈なのに


「行ってらっしゃい」


彼を送り出したあとも


なぜかモヤモヤしていた


なんだろう


仕事をしながらも


まだ不透明な何かが


頭の中に引っかかっていた


そもそも彼は何で


サボったことを私に言ったんだろう


私なら


カップルになりたてで


自分のマイナス面を


相手に打ち明けようとは


思わない


まだ知り合って間もないし


いい面を見せて


相手に自分をもっと好きに


なってもらおうとする


好きになってもらうには


いい面を見せるのが一番だ


もし私が逆の立場で


失敗を打ち明けるとしたら


それはとても勇気のいることだ


相手に幻滅されるかもしれない


嫌われるかもしれない


そんな不安が


彼には無かったというのだろうか


それとも


打ち明けても


私は幻滅しないという


確固たる自信があったのだろうか


分からない


わからないけど


ひとつ言えることは


ありがとうって言わなきゃ


失敗を隠さず


有耶無耶にせず


私にありのままの彼を


見せてくれたことに


ありがとうって


何を隠していた訳でもないが


彼の誠意にわたしも


応えようと決意した


今のわたしにとって


一番恥ずかしいと思うことは


純血であることと


もうひとつ


BLでえっちい勉強を


しているということだった


BLというのは


男性同士のえっちい情事ですが


もともと興味があった訳では無い


遡ること一週間前


彼氏が出来た報告をするため


数少ない心友ふたりと


持ち寄りランチをした


一人は看護師で2児の母


もう一人はクライミング好きの


年下彼氏を持つ教師


二人とも中学時代からの


付き合いだ


年末はよく集まるが


普段から連絡を密にしている


という訳では無い


その距離感がお互い


めんどくさくなく


長く付き合える理由でもあった


「おめでとう!


良かったねぇ」


「ありがとう!」


色々なことを話した


初めてのキスは


彼の車の後部座席で


お互い緊張のあまり


唇が重ならず


ニアミスしたこと


何とか休みを作って


行き来していること


その道を知り尽くす


彼女たちにしてみれば


初々しい事この上ない話


ばかりだったらしい


時間が経つのは早いもので


旦那が帰宅したため


パーティはお開きになった


「ねぇ、まだ時間ある?」


帰り道、彼女が尋ねてくる


「うん


大丈夫だよ」


「よし


じゃあカフェ行こう」


彼女とふたりカフェは


実は初めてだった


時間帯が遅かったので


結局ファストフードになった


なんだろう


たぶんお喋りしたいって訳じゃ


無いんだろうな


なにか大事な話なのだろう


よし


せっかく時間作ってくれたんだ


どんな事でも受け止めたる


どーんと、こい!


小さな握りこぶし

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