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小さな握りこぶし4(後編)

「そっか…(笑)」


なんだか拍子抜けして


思わずタメ語になってしまった


私のさっきの決意を


かえせーー(笑)


と叫びたくなった


でも


ちょっと抜けているところが


また可愛くもある


そして


どんな理由であれ


私を選んでくれたのが


とても嬉しい


もうひとつ分かったのは


彼は絶対に嘘がつけない


純粋無垢であるが故に


嘘をついてもすぐ分かるだろう


という事だった


「それに俺、もっときみと話がしたい」


あれこれ頭で思案しているさ中


彼が突然口を開く


「うん!ありがとう」


それからは


他愛もない話で時間が過ぎていく


チャコという猫を飼っていること


料理好きだと言うこと


30kgほどのダイエットに成功したこと


減量の話は大抵の女子なら


食いつく


「えっ


どうやって痩せたんですか?」


「体幹と筋トレをしたんですよ


こんな感じで」


おもむろに立ち上がったかと思うと


照れ笑いしながら


トレーニングをして見せてくれた


ほんと、可愛い人だ


こういう真っ直ぐで飾らない人


好きだな


ふたりで元の席に戻る


私は意を決して言った


「私、あなたの


真っ直ぐなところが好きです。


もうあなたに


決めていますから」


言ってしまった


もうあとには引けない


でも、不思議と


焦りや恥しさはなかった


彼の実直さに影響されて


今ならなんでも打ち明けられる


打ち明けても後悔は…ない


「あ、ああ。


そう…ですか」


この彼の口癖は


少ない時間での


私の推測であるが


おそらく"照れ"であろう


言葉に詰まる仕草を


目にするにつれて


なんだか弄んでいるようで


申し訳ない気もしたが


もっと見たいと思うのだった


「今言って良いのか分からないけど…」


唐突に切り出され我に返る


「うん」


「………


俺、君に告白します」


んーとつまり


このあとの告白タイムで


私に告白するということを


フライングで宣言したんですね


…って…


「ええええーー!?


うそ、わたしで良いんですか!?」


と、口で言いつつも


内心は素直に嬉しくて


ホッとする自分がいる


力任せに押しすぎたかな


と、反省していただけに


喜びが2倍3倍になっていく


もちろん理由が知りたかった


「どうして、


私に決めてくれたんですか?」


彼は照れながらも真剣に


答える


「君と話してると


なんだか俺の事


前から知っててくれてたみたいで


嬉しかった。」


まあ、これは単に


私が彼の一挙手一投足を


観察しまくっていた事と


彼の仕草が読み取りやすかった


というのが大きいのだけど


「そうなんだ」


でも、それだけの理由で


好きへ転じるだろうか


それとも


あまりに必死すぎて


同情されたんだろうか


まあ、いろいろ


考えちゃうよね


だって、遊びじゃないんだもん


苦労して雪国まで来て


普段しないお化粧も頑張って


新しい服まで新調して


どんだけやる気だよって


思われるかもしれない


でも本気…なんだから


自分が気に入った相手でも


同情でカップリングなんて


ごめんだ


彼の言葉を待っていると


「それに…」


彼の周りの空気が強ばる


「うん」


何が彼の口から飛び出すのか


不安はんぶん


期待はんぶん


「…それに


こんなに可愛くて


一生懸命来てくれた君に


俺は応えたい」


可愛いワードは


言われ慣れてないと


ハートを持っていかれる


私の建前が見事に


崩れ落ちた


本気度合いが伝わった


この瞬間


彼になら騙されても


悔いはないなって


思ったのだ


「…ありがとうございます」


肩の荷がおりた


「えっと…」


彼がまた口を開く


警戒せずに耳を傾けると


「それで、告白の時って


…なんて言ったら


良いのかな?」


「知りませんよ?


そう言うのは


何を言うかじゃなくて


何を伝えたいか、だと


私は思います」


彼の言ったことに対して


かっこ悪いとか


マジで無いわとは


思わなかった


ここのシステムは


男性告白制だったので


結果がわかっている私は


彼の告白を待つだけでよかった


まだ悩んでいる彼に私は


「私、あなたのこと


待ってますから。


安心して来てください」


ピーー


見計らったかのように


フリータイム終了の


笛が鳴った


いよいよ告白タイムに突入する


彼に向かって


小さな握りこぶし

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